【個の力】FASは未経験から専門的な職を目指せる職業という話

FAS転職

昨今は個人の稼ぐ力が注目されており、WebライターやITエンジニアなど専門スキルに基づいた仕事を目指している方は多いと思います。もちろんそれらで稼ぐ力を鍛えるのもいいでしょう。

しかし私は、専門スキルを身につけて個の力で稼ぐならFASという知られざる職業もオススメだ、と常々主張しています。

私は今から8年前、宛てもなく転職活動をしていました。元々コミュニケーションが苦手で営業職などは絶対に無理だったので、「専門性を高めてセールスや力仕事をせず稼ぎたい」と漠然とさまよっていました。

そんな時に出会ったFASの仕事で想いが実現し、現在では独立して仕事をするに至っています。そのような道を与えてくれたFASという職業を紹介していきます。

FASとは何?→財務・会計(簿記)・税務の専門家/専門サービス

FASはフィナンシャル・アドバイザリー・サービスの頭文字をまとめた略語です。平たく言えば財務・会計(簿記)・税務の専門家、あるいは専門サービスや専門企業のことを指します。

より具体的に言えば、例えばM&Aや企業再生等のプロセスにおいて、財務・会計・税務等の自身の専門分野に基づいて精密計算を行ったり、アドバイスを行ったりといったサービスを提供しています。いわゆるコンサルタントの一分野ということもできます。

より詳しく知りたい方は関連記事:FASの業界概要、仕事内容、ポストキャリア詳解に詳しく述べていますので、ご参考いただければと思います。

いずれにせよ、特定の専門分野を磨き上げて個の力で仕事をするという目標は十分達成可能な領域と言えます。

需要ある仕事なの? → M&Aをはじめ金融取引増加に伴い需要は拡大中

FASの主戦場はM&Aにおけるフィナンシャル・アドバイザーやDD(デュー・ディリジェンス)などの専門サービス、その他に企業再生アドバイザリーやバリュエーション(非公開株式・債権等の第三者評価)などです。

昨今、日本国内のM&A件数は増加が続き、FASの需要も拡大しています。また、長引く不況とコロナ倒産の本格化に伴い企業再生等の需要も堅調です。

過去、金融取引に消極的だった日本社会では、今後の拡大の動きは当面続くと思われます。そういった背景から、FASの仕事の需要はますます増加していくことが予見されます。

実際、業界の大手企業の業績推移を見ても、順調に伸長していることが分かります。

FAS業界の最大手級である上場企業は、各社とも順調に業績を伸ばしています。

キツい仕事なのでは? →特に下積み期間は相応の覚悟が必要。乗り越えてこそ、強い個人が出来上がる。

FASはいわゆるコンサル業界の一角を占めており、働き方の特徴もコンサルのイメージ通りと考えて差し支えありません。

業界内である程度技能を習得できれば力の抜き方もわかってくるものですが、2~3年の下積み時代はそうもいかず大変です。先輩に指導を仰ぎながら、案件のさばき方や思考法を学んでいくことになります。

実際問題、個の力で稼ぐというのはそれほどの鍛錬と挑戦を乗り越えた先にこそ実現するというものです。覚悟が決まっている方なら、わかりやすく修練期間を取れるのでむしろ向いているともいえるでしょう。

このあたりの仕事としての厳しさについては、関連記事:現役がみるFAS業務の厳しさ、キャリアのマイナスの側面、転職志望者が覚悟すべきことに詳しくまとめています。併せてご参考ください。

未経験からFASファームに入社できる? →目下、各社とも採用強化中。基礎知識があれば十分可能。

前述の通り、FAS業界は全体的に業績拡大の流れにあり、それに伴い採用市場も奪い合いの様相を呈しています。

FASファームとしては、公認会計士や税理士、経験者採用が最もありがたいのですが、そうも言っていられず未経験採用もかなり増加してきています。

簿記の知識があれば可能性は十分ある

FASは財務・会計(簿記)・税務の専門サービスを提供します。その専門性の根底にあるのは簿記の知識です。

未経験からFAS転職を目指すなら、新卒など特殊な状況でなければ最低でも日商簿記3級、できれば2級は事前取得しておくべきでしょう。

もし現時点で全く知識がないという場合は、応募を開始する前に3ヶ月くらいかけて簿記の基礎を習得してみましょう。簿記はFAS関連にかかわらず経済や家計の理解に非常に役立つ知識ですので、決して無駄にはならないでしょう。

どのように勉強するべきか?とかFAS業務と簿記の関連性は?については、関連記事:簿記知識とFASの密接な関連性。実務でいかに役立つか、書類選考対策も併せて解説。に詳細に解説しています。

尚、筆者自身も過去に未経験からFASファームに転職しています(当時20代後半・簿記2級取得済でした)が、簿記の知識や資格がなければ選考の「そじょう」にも上がれなかったと感じています。それくらい個業界では重要度の高い基礎スキルと言えます。

FASではどれくらい稼げる →マネージャー(3~5年で昇格)で概ね年収1000万円は超える

FASはコンサルティング業界の例にもれず比較的高年収を得やすい業種です。

マネージャーに昇格するのは、適性がそこそこある人で3年、遅くとも5~6年ほど要しますが、そこに達すればどのFASファームでもまず年収1,000万円は超えるでしょう。また、フリーランスとなれば同等クラスの実力があればさらに高い収益を期待できます。

これは「個の力」カラーが同様に強いITやWeb周りの職業に比べても明らかに高い水準です。ここが、筆者がFASをオススメする大きな理由の一つと言えます。

但し、高い年収は、そこにたどり着くまでの困難さや仕事の難しさがあってこそです。そういった側面も踏まえてFASという職業をじっくり検討してみてほしいと思っています。

このあたりの詳細については、関連記事:高い年収、高い専門性、多忙。FAS業界のキャリアとしての特徴と魅力。関連記事:現役がみるFAS業務の厳しさ、キャリアのマイナスの側面、転職志望者が覚悟すべきことに、業界の中から見た裏事情も包み隠さず紹介しています。ぜひご参考ください。

FASの仕事で独立は可能なのか? →筆者含め独立事例は多数

統計があるわけではないのでデータで示すことは困難ですが、筆者の周りのFASファームOBの中には、フリーランスや起業の形で独立して仕事をしている方も多数います。

また、独立ではなく会社勤めをポストキャリアに選んだ場合でも、その多くは専門性を活かしたポジションで仕事をされています。

FASのポストキャリア(OBの仕事)の例

  • フリーランスのコンサルタント(M&Aや企業再生のハンズオン支援など)
  • コンサルティング会社の創業
  • プライベート・エクイティファンドのディレクター
  • 上場企業CFO(チーフ・フィナンシャル・
  • 上場企業の経営企画職

いずれも財務・経営周りのプロフェッショナルとしてのFASでの研さんをキャリアアップにつなげている事例と言えるでしょう。

筆者自身もフリーランスのコンサルタントとして、元勤め先や友人のコンサルタント会社からたまに案件をもらいつつ、時間と場所に縛られない生活を送っています。

どういう人がFAS業界に向いているのか? →地頭よりも粘り強さ

FAS業界は一般に比べると特殊な業界です。それゆえ向き・不向きも比較的クリアに出やすい印象を抱いています。

筆者自身8年間業界を経験して感じる「ジュニアクラスを乗り切れる人の特徴」は、例えば以下のような特徴をあげられます。

  • ガッツがある人
  • 継続力がある人
  • ある程度のパソコンワークに適応できる人

上記で見ていただいたように、FASの仕事は数字でモノを語る世界です。それゆえか、他のコンサルティング業界のように「地頭の良さ」や「ロジカルシンキング力」は必ずしも必須ではないと感じます。

また、FAS業界は文系出身者も多く、IT系のように理系完全優位な世界でもない点もポイントとして挙げられます。

尚、詳細については、関連記事:FAS業界に求められる人、出世できる人の特徴を業界8年の経験から語るに詳しくまとめ上げています。適性があるか?が気になる人は覗いてみてください。

FAS企業はどうやって見つける?

FAS企業への転職は、先ずどのような会社があるかを知らなければなりません。

FAS業界は一般には知られざる業種ですが、その背景の一つとして、FAS業界の会社がさほど多くないという点が挙げられます。

当サイトでも、(関連記事)【国内FAS】業界研究と企業一覧、転職先の選び方に掲載していますが、他業種(例えばITや広告といった業界)のように国内に多数の企業があるわけではなく、主要どころでは10~20社程度の規模となっています。

それだけに業界研究や企業研究をしっかり重ねたうえで、準備を整えて転職活動に当たりたいところです。

業界研究、企業研究や面接対策はどうする? →ネット上には情報が少ない。転職エージェントを活用するべき。

FASの仕事は他業種に比べればメジャーではなく、出身者も比較的少数ですので、ネット上にも十分な情報があるとは言えません。

当サイトでも様々な角度から業界や企業について紹介は行っていますが、それでも独特な業界でもありますので、理解には限界があるでしょう。

そこで当サイトでオススメしているのが、専門の転職エージェントを活用する方法です。FAS業界に特化したエージェント企業や担当エージェントは少数ながら存在していますので、そのような業界知識を有する転職エージェントにリアルなりWeb会議なりでいろいろと相談し、イメージをつかむのが一番と考えています。

注意したいのは、一般的な転職エージェント(非特化系)では業界知識がなくメリットも半減未満です。特にジェイエーシーリクルートメント社(業界担当エージェントが在籍)やコトラ社(金融・コンサルティング業界に強み)などをオススメしています。

詳しくは、(関連記事)FAS転職におけるオススメ転職エージェントと活用のコツをご覧ください。

既に簿記知識などが十分にあり、どんな企業があるかの調べもついている人であれば、今すぐにでもエージェントに応募してみるべきでしょう。

結び:FAS業界に興味を持った方は、ぜひ当サイトの他の記事もご参照ください

FASの仕事は、あまり世間には浸透していない職業です。ただ、世間で流れるM&A(企業買収や合併など)や企業再生、破綻等のニュースの裏側には、必ず彼らの仕事があり成立しているなど、縁の下の力持ともいえる職業です。

FASの職業にご興味を持った方は、ぜひ当サイトの他の記事もご参照いただき、理解を深めていただければと思います。

尚、FAS転職に関しては、関連記事:FAS転職完全ガイド!未経験でも勝てるFAS転職の基礎知識まとめに本記事で述べた内容も含めて網羅的に解説しています。迷ったらこちらの記事を先ずご覧いただければと思います。

FASのキャリアに興味が湧いたら、まずは行動してみましょう

FASは、筆者が8年以上働いてきた実感として、上を目指す人に対しては自信をもって勧められる職業です。思い立ったが吉日、これを機にFASキャリア実現への第1歩を踏み出しましょう。

■簿記の基礎知識が既にある人→下準備としては十分です。まずは転職エージェントに相談してみましょう。エージェントの選び方と活用戦略はこちら

■簿記が未学習に人→FASは簿記知識を基礎にしたプロフェッショナルです。3ヶ月もかければ十分なので、先ずは簿記の勉強を始めましょう。FAS転職を見据えた簿記の学習戦略はこちら

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