FAS転職完全ガイド!未経験でも勝てるFAS転職の基礎知識まとめ

FAS転職

FAS(フィナンシャル・アドバイザリー・サービス)への転職は、公認会計士資格や銀行・経理出身などの場合有利です。しかし、私自身は全く畑違いのIT系からFASへ転職を決めました。

これは、職歴が不利でも、資格がなくても、未経験でも工夫次第でFAS転職の道は開けることを示しています。業界で得た知見を多数盛り込んだ当サイトでしっかり対策し、夢への第一歩を掴みましょう。

本記事では、先ずは要約的に転職成功ロードマップを示したうえで、FAS業界と転職について横断的に解説していきます。

(筆者について)税理士でも公認会計士でもなく業界経験もなかった状態から独立系FASに転職し8年が経ちました。FAS業界の実体験と業界人脈から得た知見をもとに、FAS転職に役立つ情報発信をしています。

目次
  1. FAS転職を成功させるためのロードマップ
    1. ①事前準備:少ないチャンスを生かすため、業界理解をしっかり行う
    2. ②簿記は最低でも3級程度の知識は身に付ける。異業種転職であれば2級合格もほしい。
    3. ③転職エージェント応募前に。FASの中でどのような領域を目指すのかを明確にする。
    4. ④転職エージェントに申し込む。FAS転職においては重要度が高い。エージェント選定は慎重に。
    5. ⑤転職エージェントとの質疑応答・応募~面接
  2. FASとは何か?キャリアとしての魅力は?
  3. FAS業界の全体像
    1. FAS業界に属するプレーヤー:Big4系/独立系/税理士事務所系
    2. 総合系や戦略系のコンサルタント企業とはどう違うのか?
    3. FASと投資銀行(IBD)におけるM&A部門との違いは?
  4. FAS業界の最新の業況と転職採用市場
    1. FAS各社の業績は好調。採用にも弾みがつく。
    2. 現在のFAS転職は、未経験・無資格からでも十分に可能
  5. FAS業界は一般世間からは遠いが、転職には正しい理解が必要
    1. FASの具体的な仕事領域を理解する
    2. FASファームにおける働き方を理解する
    3. ジュニアクラスの仕事内容を理解する
  6. FASファームの面接対策
    1. ミスマッチが多い業界ゆえ、事前の仕事内容理解が重要
    2. ジュニアクラスに求められる知識・スキルを事前に身につける
    3. M&Aや破綻、再生等のニュースに日ごろから関心を持つ
    4. ケース面接はあまり一般的ではない
    5. 年齢による難易度上昇は残念ながら確かにある
    6. 学歴は気にしすぎる必要はないが、大卒資格は必須の可能性も
  7. 転職エージェント:FAS転職においては重要度が高い
    1. FAS転職におけるエージェント選定の基礎知識
    2. エージェント活用のコツ(事前準備)
  8. 最後に。FAS転職に特化した対策が必要。当サイトをご活用ください。
  9. FASのキャリアに興味が湧いたら、まずは行動してみましょう

FAS転職を成功させるためのロードマップ

まずはFAS転職において意識するべきポイントを整理します。次の通りです。

  • バッターボックスに立てる機会はさほど多くない(FASファームはたくさんあるわけではない。条件を絞れば尚更厳しい)
  • ある程度の簿記知識は習得済みであることが前提。異業種転職であれば日商簿記2級合格がほしい。
  • 転職エージェントは、業界理解等のためには活用必須
  • 転職エージェントの門をたたく前にやるべきことがある

これら注意点に沿って、FAS転職を実現するためのロードマップを解説します。

①事前準備:少ないチャンスを生かすため、業界理解をしっかり行う

FASは他業界に比べるとさほど広い業界とは言えません。(関連記事)【国内FAS】業界研究と企業一覧、転職先の選び方にも示している通り、中堅まで範囲を広げても十数社程度です。

この中で志望内容に合うファームや年齢・学歴から志望可能範囲が絞られるとなると、バッターボックスに立てるチャンスは尚更少ないことになります。

少ない機会を確実にモノにするために事前準備は欠かせません。まずはどのような会社があるのか。どういった業務内容を行っているのか。当サイトの情報も含めリサーチを全力で行いましょう。

当サイトの記事で言えば、
業務内容の理解は(関連記事)FAS(フィナンシャル・アドバイザリー・サービス)の概要
会社・業界の理解には(関連記事)【国内FAS】業界研究と企業一覧、転職先の選び方をご活用ください。

②簿記は最低でも3級程度の知識は身に付ける。異業種転職であれば2級合格もほしい。

FASは経理・財務・税務に関するプロフェッショナルサービスであり、その中心にあるのは簿記会計の知識です。

事前に簿記の知識がなければ選考の遡上に乗ることすらできません。現段階で簿記の知識に不安があるのであれば、具体的な行動に起こす前に3か月~半年程度時間を取って簿記の勉強に取り組むことをお勧めします。

(関連記事)簿記知識とFASの密接な関連性。実務でいかに役立つか、書類選考対策も併せて解説。に、FASでの簿記会計の重要性、FAS転職に向けた勉強の進め方を詳細に述べています。詳しくはこちらをご覧ください。

③転職エージェント応募前に。FASの中でどのような領域を目指すのかを明確にする。

ここまでくれば転職エージェントに応募したくなりますが、いったん待ちましょう。

FASファームの仕事といっても多様な分野があり、単に「FAS業界に行きたい」といったざっくりな志望動機では、「要は何がしたいのか?」みたいな議論になり、エージェントとのやり取りも方向性が定まりません。(無論、企業面接においても同様です。)

求職者としては、転職エージェントの門を叩くにあたり、ご自身がFAS業務の内のどの領域を専門としたいのか、あらかじめ明確にしておく必要があるということです。

どのような業務領域があるかは、当サイトの(関連記事)FAS(フィナンシャル・アドバイザリー・サービス)の概要もご参照ください。「FASの具体的な業務内容」のうち、1つに絞る必要はありませんが、内容を理解して優先順位を付けておくべきでしょう。

尚、入り口でどれか特定の専門分野を選択したとしても、内部での移動は比較的容易であり、他の業務に参画できる芽がなくなることは考えにくいです。この段階ではあまり考えすぎず志望領域を選定しましょう。

④転職エージェントに申し込む。FAS転職においては重要度が高い。エージェント選定は慎重に。

ようやく転職エージェント申し込みです。

当サイトではFAS転職においてエージェント活用は非常に重要である、と随所で訴えています。その理由はFAS業界特有の構造や業務内容理解の難しさに起因しており、業界に詳しいエージェントを起用するか否かは転職成功を左右するほどといえます。

その理由は詳しくは(関連記事)FAS転職にエージェント活用が不可欠な理由に述べていますが、大まかに言うと業界理解の難しさ、求職者の強みの特定、ファーム選定、チャンスの少なさ、と言えます。

このように重要性の高いエージェントですが、業界理解がいまいちな会社を選ぶとその意義もほとんど失われてしまいます。

FAS転職においては、業界に強い、あるいは業界専業とするエージェントが存在するのが特徴的です。

(関連記事)FAS転職におけるオススメ転職エージェントと活用のコツもご参照いただき、FAS転職成功に強く結び付く転職エージェントを選定して起用しましょう。

⑤転職エージェントとの質疑応答・応募~面接

転職エージェントと必ず話すべき内容は次の通りです。

  • 志望領域の明確化(M&Aなのか、バリュエーションなのか、企業再生なのか、等)
  • 志望領域に関する理解を深めること
  • 志望領域い強いファームを特定すること

上述の通り、FAS転職においては志望領域の明確化と理解深化が決め手と言えます。

これらをしっかりとエージェントと話し合いをしたうえで、実際の企業面接に臨みましょう。ここまで最善を尽くせれば、あとは祈るのみです。何も知らない人よりも、当サイトを見た人の方が確実に転職成功の確率は高まるでしょう。

FASとは何か?キャリアとしての魅力は?

FAS(フィナンシャル・アドバイザリー・サービス)は金融/財務の助言役務と直訳できますが、その意味するところは「会計・税務に関する専門知識を生かしたコンサルティング業務、もしくはその業務を提供する会社」と認識されています。

簿記会計・税務の専門知識に基づき、M&Aや企業再生など高度な金融計算が要求される局面にスペシャリストとして関与する仕事を行っています。M&Aや企業再生、破綻など、ニュースに載るような規模・載らない規模を問わず、こういった処理の裏側には、必ずFASの仕事が存在しています

当ブログは、このようなFAS業界への転職のための対策と知識を紹介しています。筆者自身もFAS業界で仕事をしており、キャリアとしての魅力を日々感じています。

コンサルティング業界の例に漏れず多忙かつアップ・オア・アウト(昇進競争)の色はありますが、他方で高度な専門性、高年収を未経験から実現できる業界です。筆者自身、FAS業界に来て様々な経験をしたからこそ、プロフェッショナルとして仕事をできている現在があると思っています。

もし少しでもご興味がわけば、ぜひ本記事や当ブログを見ていただき、理解を深めていただければ嬉しく思います。

FAS業界の全体像

FAS業界は、一般にはあまり知られていませんが、日本国内にも相応の数の外資系・国内資本の専業企業が存在します。

中にはプライム上場している会社もあり、大企業と呼べる規模に及んでいます。このようなFAS業界の企業構成、階層構造について解説します。

FAS業界に属するプレーヤー:Big4系/独立系/税理士事務所系

最大手にはBig4と呼ばれる国際的会計事務所のFAS日本法人やプライム上場の独立系が存在し、中小クラスのFASファームも相応な社数が存在しています。

大手ファームは大型案件(上場企業のM&Aや企業再生等)、中小ファームは小~中規模の案件、といったように案件の一定の棲み分けがされていることが特徴と言えます。

分類概要会社名の例
Big4世界的会計事務所の
日本法人
デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社
PwCアドバイザリー合同会社
株式会社KPMG FAS
EYソリューションズ株式会社
独立系国内資本の
FAS専業企業
山田コンサルティンググループ株式会社(プライム上場)
フロンティア・マネジメント株式会社(同上)

また、税務顧問業を主とする税理士事務所も必要に応じてFAS業務を提供しています。例外はありますが、中小ファームでも取り扱わないような小規模の仕事や、予算が限られているケースなどに起用される場合が多いのが特徴です。

(関連記事)【国内FAS】業界研究と企業一覧、転職先の選び方にて、FAS業界の企業に焦点を当てた業界研究や分析、会社一覧について詳しく述べています。

総合系や戦略系のコンサルタント企業とはどう違うのか?

FAS系のコンサルティングがその他のコンサルタント企業と大きく異なる点は、財務会計(貸借対照表・損益計算書)のテクニカルな知見の提供をサービスの核としている点です。

必要に応じて戦略の提案や業務改善などのコンサルティングも実施しますが、あくまで切り口としては財務会計に関連した提案から入ることが通常です。

逆に総合系のようにインダストリー別のチーム体制を組んでいる会社は多数派ではなく、サービスラインや財務面の専門性に応じて部署組みがされている会社が多いと言えます。

FASと投資銀行(IBD)におけるM&A部門との違いは?

M&A関連で混同されやすいのが投資銀行(IBD)との違いです。いずれもM&A関連のサービスを提供していることには違いありませんが、カバー領域が異なります。

FASはM&Aにおけるデュー・ディリジェンス(DD)やバリュエーション等、ディール全体に関する様々な専門的業務を受け持つことができることが特徴です。

他方、IBDは証券会社のホールセール部門の強みである買収資金調達支援を行えることが最大の強みと言えます。

このような背景から、FASは大小様々なM&A案件に関与し幅広いサービスを提供するビジネスであり、対照的にIBDは多額の資金が必要な大型案件に関与し資金調達も含めた多額のフィーを少数の案件から拾い上げるビジネス様態と言えます。

尚、後述するようにFASにとってM&Aは主戦場であれど数あるサービスの一つでしかありません。会計・税務の専門性を武器に様々なサービス提供に携われるのがFASの魅力の一つと言えます。

表:FASとIBDの業務領域の違い
FASのみが担当する業務M&Aディールにおける会計・税務面のプロフェッショナルサービス
  • デュー・ディリジェンス(DD)
  • バリュエーション(株価等の精密算定)
  • PMI(結合後のガバナンス・オペレーション等統合に関するコンサルティング)
  • 買収スキームに関する会計・税務面のアドバイザリー
FASとIBDで共通で提供する業務フィナンシャル・アドバイザー業務(FA)
  • M&Aディール全体に関するアドバイザー
  • 相手先の選定
  • 交渉サポート
  • 専門家の紹介とアサインメント
IBDのみが担当する業務M&Aにおける買収資金調達業務

FAS業界の最新の業況と転職採用市場

2022年現在のFAS業界では、M&Aや企業再生等の需要拡大を受け、各社とも積極的に採用を行なっています。

業況拡大を受け新卒採用を開始・拡大するファームも増えていますが、中途の採用も引き続き旺盛です。

FAS業界は本来は公認会計士または税理士が主体の転職市場でしたが、このような背景を受け異業界からの受け入れが増えているのも特徴的といえます。

FAS各社の業績は好調。採用にも弾みがつく。

IR資料で確認可能なFASファームの売上推移を以下に表示しています。確認可能な社数は少ないですが、各社順調に業績を伸ばしていることが分かります。

現在のFAS転職は、未経験・無資格からでも十分に可能

「FASに転職するには、公認会計士・税理士・金融機関出身のどれかである必要がある」という論調が一部見られますが、実態に即していません。

未経験・無資格からでもFAS転職は十分可能であることは、データから見ても筆者の経験からしても明らかです。このサイトでしっかり対策しましょう。

実際、FAS各社の公表によると、メンバーのバックグラウンドの半分やそれ以上の割合を有資格者以外(事業会社出身等)が占めていることが分かります。

FAS各社は会計・税務から周辺領域にサービス領域を拡大しており、そのためには多様なバックグラウンドを持つチームが不可欠です。また、単純に人手不足であるため、作業要員としての採用で業界デビューできる可能性も十分に考えられます。

具体的には(関連記事)未経験・異業種でもFAS転職は可能と断言できる理由。データと経験から裏付ける。にまとめております。

FAS業界は一般世間からは遠いが、転職には正しい理解が必要

FASは財務会計等のコンサルティングを行う会社・・・程度の知識では不十分です。一般には知られていない職業ではありますが、当サイトを活用し、業務内容への理解の解像度を高めましょう。

具体的な仕事領域、働き方の実態、ジュニアクラスの仕事内容、キャリアパス、年収水準、業界の常識など。こういった背景も含めて正しく理解しておくことは、面接対策として非常に重要です。

これらの点を網羅的に解説していきます。

FASの具体的な仕事領域を理解する

一口に財務・税務に関するコンサルティングといっても、その仕事内容は多様です。

分野ごとに実際にどのような業務を行っているのかを網羅的に紹介します。

※ここでは一覧性を重視して端的に解説しており、詳細は以下の関連記事に細かくまとめています。業界理解には極めて重要な事項ですので、ぜひ併せてご覧ください。
(関連記事)FAS(フィナンシャル・アドバイザリー・サービス)の概要

M&A関連業務

M&AはFASファームの主戦場とも言える領域です。主な内容として、以下が挙げられます。

買収対象企業のフィナンシャル・デュー・ディリジェンス(財務DD、FDD)

買収対象企業の貸借対照表と損益計算書を調査し、買収後のリスクの洗い出しを行います。

非公開株式等のバリュエーション(価格算定)

マルチプルやDCF法などを活用し、株式価値等の価格算定を行います。

フィナンシャル・アドバイザー業務

企業株式の売り手・買い手のマッチングから取引実行までの包括的なサポートを行う業務です。ディールの先導役ともいえる役割です。

PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション、結合後の統合作業)

M&A後のガバナンスや経理オペレーションの統合を支援する業務です。ディール最中から統合後のプラン策定等を行う場合もあります。

企業再生に関するアドバイザリー

企業再生の局面では、借入金と収益性のバランスを見ながら利害を調整し事業計画を策定する、高度な財務計算が必要とされます。

具体的には、以下のようなサービスを提供します。

債権者との利害関係の調整支援

特に私的整理案件においては、再生企業と債権者(銀行等)との間の合意を取り付けることが重要命題です。

FASは会計・税務の知識を駆使して数値面から合意形成を支援します。

企業再生における事業・財務デュー・ディリジェンス

再生に向けた事業面の問題点の洗い出しと、財務会計の実態把握と、事業・財務の両面に主眼に置かれた調査を実施します。

また、それらを利害関係者(再生当事者である会社や金融機関)に報告を行います。

債権者集会(いわゆるバンクミーティング)への対応支援

私的整理を行う場合は、債権者間の合意が不可欠です。そのための情報共有と話し合いの場として債権者集会が執り行われる場合が多く、この様な集会運営の手助けを行います。

ファイナンス・スキームに関するアドバイザリー

ファイナンススキームにおける不測の税務債務(課税)の発生や会計上の問題を未然に防ぐため、FASは事前の予測やスキーム提案を行います。

資金調達支援

事業内容を損益計画に落とし込み、交渉を数値面でサポートします。

また場合によっては金融業界の人脈を駆使しレンダーや投資家をマッチングするところまで支援することもあります。

会計・経理に関するアドバイザリーや不正調査(フォレンジック)

監査業務に近いガバナンス面の指摘や不正調査、会計・税務に関する高度な知見提供を行います。

(再掲)業務内容の詳細は、関連記事をご参照

ここでは、業務内容について一覧性重視して端的に解説しました。

以下の関連記事にかなり詳しくまとめています。業界理解には極めて重要な事項ですので、ぜひ併せてごらんください。
(関連記事)FAS(フィナンシャル・アドバイザリー・サービス)の概要

FASファームにおける働き方を理解する

部門にもよりますが、基本的には「たくさん働き、給料もたくさんもらう」のが旧来の働き方でした。

ただ、昨今の世間の流れを受けFAS業界も変化しつつあります。

高度な専門職、高い給料水準

FAS業界は高度な専門職であり、更に人材獲得競争が激化していることもあり、給料は高水準です。

プロモーション(昇進)次第ですが、20代で入社すれば30代には高確率で年収1,000万円に到達します。

マネージング・ディレクターともなれば年収2〜3,000万円やそれ以上の報酬を受け取っているプロフェッショナルも少なくありません。

(関連記事)高い年収、高い専門性、多忙。FAS業界のキャリアとしての特徴。に、このようなFASキャリアの魅力的な面について詳細にまとめていますのでご参考ください。

精神的・時間的にハードワークの世界。そしてアップ・オア・アウトの競争。

旧来、FASの仕事は過酷を極め、凄まじい時間を仕事に投下する一方で世間の2倍3倍の給料をもらう働き方が通常でした。

昨今は働き方改革の影響があるとはいえ、仕事に慣れるまでは、時間的にもメンタル的にも負荷がかかります。逆にある程度慣れて社内での位も上昇すれば、力の抜き方も分かって余裕も出てくるでしょう。

また、数字を扱う仕事の宿命で、精神的にもプレッシャーがかかる仕事です。更に先輩・後輩とのプロモーション(昇進)競争がある世界であり、向いていない人材は居づらくなり早晩業界を去ることになってしまう傾向があるのも事実です。

筆者としては、このようなマイナスの側面もしっかり認識したうえで志望を固めることで、より価値の高い将来選択ができると考えています。このようなマイナス面について、(関連記事)FAS業界のキャリアのマイナスの側面、厳しさ、転職志望者が覚悟すべきことにさらに詳しく述べています。ご興味があれば是非ご覧ください。

FASでの経験は市場での人材価値を高める

FASの業務内容は、経営や会計に関する深い専門性が身につきます。

実際、FASを数年経験したOBは、上場企業の経営企画職や中堅企業の経営者、PE等の投資ファンドへの転身、起業など、様々なキャリアアップを実現させています。

ただし、ミスマッチにより短期間でFASを離れることになってしまうケースは要注意です。ジュニアクラスのままでは専門職は身に付かず上から言われたことをやった経験しかないため、その段階で辞めてしまうとキャリアにはむしろマイナスとなってしまいます。

入社する前にきちんと仕事内容などを把握した上で決めることが重要でしょう。

ジュニアクラスの仕事内容を理解する

転職したての新人は、現場の細かい作業の手伝いから始め、財務計算やプロジェクトマネジメントと、少しずつ仕事の幅を広げていきます。

基本的に最初のうちはひたすらエクセルワークを行い、財務コンサルタントとしての知見を身につけていく流れになります。

ここではジュニアクラスの仕事内容の実態を解説します。

統計情報等の調査

一部ファームでは最下タイトルを「アナリスト」としているように、駆け出しの仕事の一つは公開されている政府等の統計情報を探し、論旨の裏付けを手伝う仕事です。

的確な統計を選べるか、その結果をエクセルやパワポを使い見やすくプレゼンできるかなど、基礎的な力が問われます。

こういった下積みの仕事でマネージャーが納得する成果物を作れるかどうかが、新人の第一関門と言えます。大抵の新人は、最初のうちは徹底的にダメ出しをうけることになります。めげずに粘り強く立ち向かいましょう。

基礎的な財務分析

統計調査等である程度慣れて結果を出せたところで、ようやく調査対象会社の財務内容に触れることができます。

ここでも部分的な分析を行い、マネージャーに成果物を認められることがハードルとなります。

財務モデリング

一通りジュニアクラスの仕事が身についた新人が任せられる代表的な仕事が、財務モデリングです。

収益費用と資産負債が将来どのように推移するのかを表計算ソフトを使いシミュレーションを行う仕事です。BS、PLの構造の正確な理解が求められます。

FASファームの多くの仕事でアウトプットの要となる数字を作る仕事です。正確性が求められ、間違いがあれば結論に大幅な間違いを生んでしまう責任重大な仕事です。

この仕事をこなせれば、ジュニアクラスの財務アドバイザーとしては一応一人前と言えるでしょう。

クライアント担当者との基礎的なやり取り

クライアントと基礎的なやり取り(質問や資料要求、個別のヒアリングなど)ができるようになるのも、ジュニアクラス卒業の一つのポイントと言えます。

プロジェクトマネージャーとしては、コンサルタントとして知識やコミュニケーションに不安があるメンバーをクライアントの矢面に出すのは不安があります。

逆に言えば、こういったやり取りを任せられるということは、そういったコンサルタントとしての基礎の部分は認められた証拠と言えるでしょう。

(番外編)報告・連絡・相談は当然徹底するべし

業務内容とは路線が違いますが、特に最初のうちはしつこいくらいに行うべきです。

特に異業界からの転職となれば基本的な単語の理解すら危うい可能性があります。

疑問は残さずその場で解決する、摩擦を恐れずマネージャーとコミュニケーションを取るといった姿勢は、緻密な仕事を求められるFASでは他業種位以上に重要と言えます。

FASファームの面接対策

FASファームの面接の特徴をおさえて、攻略に臨みましょう。

ミスマッチが多い業界ゆえ、事前の仕事内容理解が重要

FASの仕事は高度な専門性とハードワークが要求される職業です。また、一般には働き方をイメージしにくい職業でもあるため、各社ともにミスマッチには一層の警戒を払っています。

したがって求職者としては、「前提となる学識を身につけておくこと」と「業界を理解しているのでミスマッチはしませんというアピール」の2点が特に求められます。

FASの仕事内容は、日常生活には馴染みがないだけに、理解度のピントが合わない応募者が多いのが現状です。高度かつハードな仕事であるため、正しい認識を持って挑むような方でなければ、ミスマッチを懸念されてしまいます。

ジュニアクラスに求められる知識・スキルを事前に身につける

財務会計の知識。できれば簿記2級は事前取得する。

FASは財務・会計のコンサルティングを専業としますので、せめて事前に日商簿記3級(できれば2級)程度の企業会計知識はあらかじめ習得しておく必要があります。

入社のために必要というよりは、知識がない状態で入社してしまうと、その後かなり苦労することになるはずです。仕事量が多くなり、入社後は勉強する時間が十分に取れないことも考えられます。

簿記2級程度の知識内容は、社内でも標準言語並みに飛び交っています。先輩コンサルタントの言葉を理解して仕事を回すためにも、財務会計知識の事前習得は必須と言えます。

※FAS業界実務に即した実践的な簿記知識の学習指針について、関連記事「簿記知識とFASの密接な関連性。実務でいかに役立つか、応募対策も併せて解説。」もご参考ください。

エクセル・パワーポイントを早く正確にこなせる能力を磨く

ジュニアクラスの間は、プロジェクトリーダーの下請けとしてエクセル・パワーポイントを使用する仕事が多くなりがちです。

新入社員は、これらの作業を早く正確に遂行することが最初の評価ポイントとなります。

そういう観点で、エクセル・パワポの操作に慣れておくことも実は重要なポイントです。

具体的な業務内容に踏み込んだ書籍を読み込む

前2つに比べれば優先度は落ちますが、業界知識を得るという意味で、適切な読書を経験しておくことは重要です。面接対策になりますし、入社後の活躍可能性も高めるでしょう。

とはいえ、入社前では業務知識もありませんし、闇雲に書籍選びをしても実りがありません。

そこで以下の関連記事に、業界経験を踏まえバリュエーション、DD、M&A、管理会計等、主要な業務範囲別に実践的な書籍をまとめてあります。具体的なタイトルまで提示していますので、併せてご参考ください。

(関連記事)FAS転職希望者が事前に読むべき書籍。業務分野別に現役コンサルタントが紹介。

M&Aや破綻、再生等のニュースに日ごろから関心を持つ

M&Aや企業破綻、再生等のニュースがあれば、その裏にはほぼ確実にFASファームの仕事が存在しています。

そういったニュースを見かけたら、詳細資料(財務諸表等)をインターネットで探して自分なりに解釈してみるなどしておくと、面接時にも何かと役に立つでしょう。

面接で「最近のニュースで気になる財務論点はありますか」といった質問が来た場合などは、このような日ごろの心がけが命運を左右すると言えます。

ケース面接はあまり一般的ではない

コンサルティングファームといえばケース面接(課題解決のテスト)が定番ですが、FASファームの面接で受けることは少なめです。

ジュニアクラスに求められるのは、課題解決よりもエクセル・パワポワークの効率であることが一因でしょう。

逆に、財務会計等に関する口頭質問やペーパー試験を課すファームが存在することは一つ特徴的と言えます。

年齢による難易度上昇は残念ながら確かにある

FASファームにジュニアクラスとして入社する場合、やはり20代~30代前半が圧倒的に有利です。

逆に40代に差し掛かると、エクセルの手の遅さや体力的な面も懸念され敬遠されがちです。

また何より、マネージャーにとって新人指導は細かいところまで及びがちですが、年上の新人というのはどうしてもやりにくさを感じてしまいます。

とはいえ、40代で入社されて活躍しているケースも私自身も多数見てきましたので、諦める必要はありません。やはり業界理解と対策の問題であると思います。

学歴は気にしすぎる必要はないが、大卒資格は必須の可能性も

頭脳労働を主とする職種ですので、有名大学卒が有利なのは間違いありません。

ただ、昨今はどこのファームも人手不足で採用拡大していますので、熱意と事前知識さえしっかりしていれば、学歴に自信がなくとも十分通用すると思われます。

ただし、大卒資格を必須条件としているファームが多いので、その点だけ注意する必要があります。

転職エージェント:FAS転職においては重要度が高い

FAS業界は、異業界から来る人は特に仕事内容を想像しにくく、また志望内容にあう会社を選定するのも他業種に比べ難しいと言えます。そういった背景から、FAS転職において転職エージェントも活用する重要性は高いです。

一言にFASといっても業務内容は多様ですし、会社によって得意とする領域もまちまちです。業界知識を持つエージェントに口頭質問を通じてピントを合わせる工程は必須とも言えます。

FAS転職におけるエージェント選定の基礎知識

FAS業界向けの転職エージェント市場において特徴的なのは、業界に特化したエージェント企業が数社存在していることが挙げられます。

その中でも「特化が非特化か」という二元論的ではなく、専門職特化>コンサル業界特化>金融コンサル特化>FAS特化、といった具合に、各社専門領域の絞り度合いは様々です。傾向としては(当然ですが)特化度合いが高まるにつれてエージェント企業も比較的小規模になります。

企業とのコネクション強弱や業界知識の解像度のトレードオフといった側面もあります。求職者としては、特化度合いが異なる複数社を利用して様子を見るのが良いでしょう。

大手はともかく、業界特化したエージェントは一般にはあまり知られていません。(関連記事)FAS転職におけるオススメのエージェントと活用のコツにて、オススメの企業を列挙しています。先ず2社選ぶとすれば、大手・専門の各分類から1社ずつ選択してみるのがバランスが良く進められるでしょう。

エージェント活用のコツ(事前準備)

上記の通りFASと一言にいってもカバーする業務内容はM&A、企業再生、バリュエーション、会計税務と多様です。

そのため、「FAS志望」というざっくりな括りで相談に行くと、エージェントとの会話もかみ合いません(体験談)。ゆえに、エージェントの初回相談にあたり、FAS業務の内のどの領域を専門にしたいのか、ある程度決めおくことが大切です。

業務内容は(関連記事)FAS(フィナンシャル・アドバイザリー・サービス)の概要に詳しくまとめています。「FASの具体的な業務内容」の内、一つに絞るか優先順位をつけておきましょう。

最後に。FAS転職に特化した対策が必要。当サイトをご活用ください。

FASファームは、国内にさほど多く存在しているわけではありません。書類応募前の準備や面接には入念な対策が必要です。

当サイトの他記事もご確認いただき、気になることはしっかり調べてから行動に移しましょう。

皆様の夢がかなうことを心から祈っております。

FASのキャリアに興味が湧いたら、まずは行動してみましょう

FASは、筆者が8年以上働いてきた実感として、上を目指す人に対しては自信をもって勧められる職業です。思い立ったが吉日、これを機にFASキャリア実現への第1歩を踏み出しましょう。

■簿記の基礎知識が既にある人→下準備としては十分です。まずは転職エージェントに相談してみましょう。エージェントの選び方と活用戦略はこちら

■簿記が未学習に人→FASは簿記知識を基礎にしたプロフェッショナルです。3ヶ月もかければ十分なので、先ずは簿記の勉強を始めましょう。FAS転職を見据えた簿記の学習戦略はこちら

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