FAS(フィナンシャル・アドバイザリー・サービス)業界は、一般的な職業に比べ、高年収・高専門性・多忙という特徴が挙げられます。
本記事では、そのようなFASのキャリアが持つ魅力的な面と、逆に負の面を詳細に説明します。
尚、「FASとは何か?」という方には、(関連記事)FAS(フィナンシャル・アドバイザリー・サービス)の概要という記事にまとめています。併せてご参考ください。
(筆者について)税理士でも公認会計士でもなく業界経験もなかった状態から独立系FASに転職し8年が経ちました。FAS業界の実体験と業界人脈から得た知見をもとに、FAS転職に役立つ情報発信をしています。
FASキャリアの魅力的な面
私自身、FAS業界に入り8年が経ちましたが、今でもこの業界に来て本当によかったと感じています。
なぜそのように感じるのか?その魅力の面を解説します。
FAS業界は比較的高報酬。活躍できれば入社3年で1,000万円を超える。
FAS業界はプロフェッショナル職であるため、その他の職業に比べて報酬水準は高めです。
入社直後こそ他業界と大きな差はありませんが、きちんと活躍できてマネージャーに昇進できれば、多くのファームでは1,000万円を超えるはずです。
マネージャー昇進は、よほどの天才でもない限り最低3年程度は要しますが、業界入り3年でこの水準に達することができるのは、日本国内では珍しいと言えます。
表:FASにおける役職ランクと大まかな役割・経験年数・年収(※あくまで目安です)階級 | 大まかな役割 | 昇進に要する 経験年数目安 | 年収目安 独立系 | 年収目安 Big4級 |
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アナリスト | エクセルなどでの資料作成、統計調査等が出来る | 入社直後のタイトル | ~500万円 | 〜600万円 |
アソシエイト | 案件でマネージャーのサポートとして貢献できる | 1~2年 | 600万円 | 800万円 |
マネージャー | 1案件のかじ取りができる 担当顧客からリピート受注を獲得できる | 3~4年 | 1,000万円 | 1,300万円 |
ディレクター | 複数のマネージャーを束ね複数案件のかじ取りができる。 大規模案件のかじ取りが出来る | 5~6年 | 1,400万円 | 2,200万円 |
マネージングディレクター | 案件の総責任者を務められる 重要紹介先から定常的に案件獲得できる | 7~8年 | 1,700万円〜 | 2,000万円〜 |
パートナー | ファーム運営の責任者 | 9年~ | 2,000万円〜 | 2,000万円〜 |
この高報酬水準の理由の一つとして、顧客へのチャージレート(時間あたり請求額)の高さが挙げられます
例えばIT業界での単価はジュニアクラスで1時間4,000円、上級の技術者でも1時間10,000~12,000円程度ですが、FAS業界ではアソシエイトクラスで1時間15,000円程度、ディレクター級になれば1時間30,000~40,000円程度の契約もよく見られます。
それほどに希少で高度なサービスを提供しているため、その様な高額単価でも顧客満足度を十分に引き出すことができるのです。
FAS業務は士業の独占業務ではない。人手不足であり未経験・異業界からでも転職可能。
こういった高度なサービスを提供するFAS業界ですが、例えば同じくプロフェッショナル業界である弁護士などと異なり、FAS転職に資格は必須ではなく未経験からでも転職可能である点も特筆に値します。
基本的にFASは公認会計士・税理士の主戦場ではありますが、士業の独占業務ではないため資格がないコンサルタントも多数採用されています。
特に昨今はM&Aや企業再生等の需要増加に伴い、FAS各社は採用を強化しています。未経験者にも着実にチャンスが巡ってきている状況といえるでしょう。
未経験・異業界転職の可能性に関する数値面での詳しい裏付けについては、(関連記事)未経験・異業種でも対策次第でFAS転職は可能。データと経験から裏付ける。をご覧ください。
ネクストキャリアに生きる高度な専門性
FAS業界の業務は、会計や経営等の分野をまたがるプロフェッショナルサービスです。会計やM&A、経営改善、管理会計など、経営のコアとなる実務に精通するFASのコンサルタントは、その後更に高度な領域にチャレンジする方が多数派です。
例えば、上場企業等の幹部や経営企画職が代表的なものとして挙げられます。経営企画職は、大手企業においては中期経営計画やM&Aプランの策定や実行を担っており、FAS業務との親和性が高い領域です。
その他、PE(プライベート・エクイティ、非公開株式を扱う投資ファンド)への転職や独立起業など、様々な領域で活躍しています。
FAS業界での仕事を通じて、会計・税務の専門知識やトランザクションに関する知見はもちろんのこと、ビジネス感覚や交渉スキルなど様々なポータブルスキルを習得し、その後のキャリアに生きていることが伺えます。
表:ポストFAS(FASからの転職)の代表例職種 | 概要 | FAS業務が生きる理由 |
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上場企業の企画担当幹部 または経営企画職 | 事業計画の策定・管理 M&A等の計画・実行 |
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プライベート・エクイティ・ファンド 企業再生ファンド | 非上場株式投資を行うファンドのフロント業務 |
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独立起業 | 金融、IT等、多様な分野での独立起業 |
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FASキャリアの負の面
FAS業界の働き方は、数年前から比べればマシになったとはいえ、基本的には多忙を極める職業です。一般的なコンサルタント職と同じようなイメージと捉えて差し支えありません。
また、コンサルタント業界によくあるアップ・オア・アウト(昇進するか、諦めて他業界に戻るか)の世界であることも間違いありません。
このようなFASキャリアの厳しさや負の面に関して、下記関連記事にマイナス面を徹底的に書き出しています。ご興味があれば合わせてご参照ください。
FASのキャリアに興味が湧いたら、まずは行動してみましょう
FASは、筆者が8年以上働いてきた実感として、上を目指す人に対しては自信をもって勧められる職業です。思い立ったが吉日、これを機にFASキャリア実現への第1歩を踏み出しましょう。
■簿記の基礎知識が既にある人→下準備としては十分です。まずは転職エージェントに相談してみましょう。
■簿記が未学習に人→FASは簿記知識を基礎にしたプロフェッショナルです。3ヶ月もかければ十分なので、先ずは簿記の勉強を始めましょう。
FAS業界にご興味が湧いた方。当サイトでより知見を深めましょう。
FAS(フィナンシャル・アドバイザリー・サービス)は、キツイけど楽しく高報酬な業界です。
当ブログは、本記事で紹介したFAS転職を実現するための様々な情報を発信しています。ぜひ下記関連記事もご参照いただき、理解を深めていただければ幸いです。
小説・映画からFASを理解する:FAS業界の業務知見を深める小説・映画オススメ2選
FAS転職に関する総まとめ:FAS転職完全ガイド!未経験でも勝てるFAS転職の基礎知識まとめ