筆者自身8年以上に渡りFASの仕事を続けてきて、現場で多くの新入社員を迎え、多くの退職者を見送ってきました。
そういった経験の中で、FASの仕事に向いている、あるいは出世できる人物像とはどういうものか?が何となく分かるようになってきました。コンサル業界は一般に「地頭の良さ」が重要と言われていますが、ことFAS業界に関しては必ずしもそうではないと考えています。
本記事では、そのような経験に基づく向き不向きを論じてみたいと思います。
これからFASを目指す人にとって自分自身に適性があるのか?あるいはどういう点をアピールすれば良いのか?などの観点で参考になると思います。
FAS業界に適応できる人の特徴
まずはFASに適応できる人の特徴、求められる特性について説明します。
ガッツがあること
いきなり精神論になりますが、ご容赦ください。
というのも、昨今は働き方改革の影響があるとはいえ、FASも他のコンサルティング業界と同じく、まだまだ時間的・精神的にハードな職場です。
多少の長時間労働も厭わず食らいついて成果を出しに行ける人物の方があらゆる面で有利なのは、綺麗事抜きで言えば間違いないでしょう。
また、M&Aや企業再生など、ハードな交渉や慎重さを求められる仕事が多く、メンタル的なタフさも重要と言えます。
継続力があること
足下のFAS業界は、人材需要がかつてないほどに高まっています。
ゆえに、如何に業務に苦戦しようとも、FAS業務を3年、5年と継続して経験してきた人物にはそれなりの人材価値が生まれているのが現状と言えます。
コンサル業界は概ね3年でマネージャーに上がれなければ辞めるしかないという雰囲気(Up or Out)がスタンダードですが、FAS業界においては5年、7年とかかりマネージャーに上がり活躍するプレーヤーを割とよく見かけるのは事実です。
ある程度のパソコンワークに適応できること
FASの仕事は数値が重要であり、数値計算の基本は表計算ソフト(エクセル)です。
エクセルを上手に早く扱えるか否かは、特にジュニアクラスの間は極めて重要です。
入社段階でマスターしておく必要はありませんが、拒否反応があるレベルであれば事前に練習しておいた方がよいでしょう。
「地頭の良さ」は実はなくても生きていける
業界を経験しての印象として、「地頭の良さ」は他のコンサル業界で言われるほど重要ではないと感じています。
FASの仕事は愚直に数字を積み上げていけば何らかのバリューを発揮できる側面があることがその一因といえます。
もちろん地頭が不要と主張しているわけではなく当然プロモーション(昇進)速度には大きく影響します。それでも数字と粘り強く向き合う根気さえあればFASの世界で適性を発揮できる可能性は高い、といえるのです。
FAS業界で出世が早い人の特徴
以上で入社してやっていける人とは?という視点で特徴を論じました。ここからはプラスアルファで、出世が早い人の特徴を列挙してみます。
自身の立ち位置(強み)を明確にできる人
FASの仕事は多様であり、必要な能力も、コミュニケーション力・専門知識・数理能力・分析能力・作業能率・提案力・営業力など多岐にわたります。
FAS業界で目立つ人とは、往々にしてどれか一つまたはいくつかの能力を磨き上げており、その領域では無類の強さを発揮しているような人物です。
特定の専門分野(例えばM&Aのスキーム精査、税務、バリュエーション等)に特化するもよし、営業力や提案力を磨くもよし。何らか自分の強みを見つけて集中強化していくことが、自身のポジションを築き出世を早めるコツと言えます。
リピート受注を取れる人
FAS業界の仕事は、特定の顧客から繰り返し受注するような性質の案件が多く存在します。例えばM&A関連などは、顧客はトランザクション毎にFASを起用するようなイメージになります。
このような背景もあり、同じ顧客から定期的に声がかかるマネージャーは、ファームから重宝されます。そのような中で大きな案件を安定的に受注できればファーム内での存在感も必然的に増加してきます。
リピート受注を得るには、目の前の案件で十分な顧客満足度を得て案件をこなすことが重要です。専門知識はもちろんのこと、顧客とのコミュニケーションも含めた総合力が求められます。
顧客満足度の秘訣は、「クイックレスポンス」、「不安にさせない」、「期待を超える」
FASのサービスも役務提供の一種なので、よく言われているポイントを踏襲すれば基本的にはOKです。
尚、ここに列挙することは、FAS入社直後などの上司との関係にも同じことが言えます。これらのことが実践できるプレーヤーは出世も早くなることでしょう。
クイックレスポンス
顧客満足度の基本中の基本、「クイックレスポンス」はやはり重要です。
顧客は高いフィーを払っていますので、何か要望なり質問なりがあったときには速攻で対応してあげることが重要です。
不安にさせない
「あの件どうですか?」などと顧客から質問が入った時点で負けです。顧客に無用な手間とストレスを与えています。
顧客が多分待っているだろう、と先回りしてこちらから状況を報告しましょう。
顧客の期待を超える
依頼されたことをこなすのはもちろんのこと、何らかの付加価値を発揮して期待を超えてることが、顧客の印象を残る一つのポイントです。
深い洞察でもいいですし、ち密な作業でもOKです。案件ごとに何らか「これはすごい」といった点を残せるかどうかが勝負の分かれ目といえるでしょう。
FASのキャリアに興味が湧いたら、まずは行動してみましょう
FASは、筆者が8年以上働いてきた実感として、上を目指す人に対しては自信をもって勧められる職業です。思い立ったが吉日、これを機にFASキャリア実現への第1歩を踏み出しましょう。
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