FASの業界概要、仕事内容、ポストキャリア詳解

FAS業界研究

FASは、フィナンシャル・アドバイザリー・サービスの頭文字を合わせた言葉です。

その名の通り財務・金融に関するアドバイザリーを提供する企業を意味しますが、具体的な会社や仕事内容はイメージしにくいと思います。

FAS業界で8年間仕事をしてきた筆者が、FASの実像、サービス内容を詳細に解説します。

(筆者について)税理士でも公認会計士でもなく業界経験もなかった状態から独立系FASに転職し8年が経ちました。FAS業界の実体験と業界人脈から得た知見をもとに、FAS転職に役立つ情報発信をしています。

※本記事は、FASファームの業務内容に着目して解説しています。業界に属する会社や業況に関する解説は、(関連記事)【国内FAS】業界研究と企業一覧、転職先の選び方にて詳細に解説しています。

FASとは、会計・税務の専門知識を生かしたコンサルティング業務

FAS業務は、金融/財務の助言役務と直訳できますが、その意味するところは「会計・税務に関する専門知識を生かしたコンサルティング」と認識されています。

会計は簿記に代表される企業会計に関する事項、税務は税制に即した企業税務に関する事項を取り扱います。

FAS自体はコンサルティング業界の一部門と位置付けることができますが、その他のコンサルティング(戦略系や総合系等)に比べてバリュー提供において専門知識の提供が高いウェートを占めることが特徴的です。

(留意)「FAS」が意味するところは、発言者や文脈によって異なる場合がある

当サイトでは、FASを上記の通り「会計・税務に関する専門知識を生かしたコンサルティング」と定義し、M&A・企業再生・会計アドバイザリー等の関連業務を包含する位置づけで単語を使用しています。

他方、発言者によっては業務種類の一部、例えばM&Aアドバイザリー業務のみを指してFASと呼んだり、あるいは会計監査を称してFASと呼んだりといった場面は往々にして遭遇します。

Web上には他にも多数のFAS関連のサイトが存在していますが、その文脈を読み取り何をもってFASと呼んでいるのかは注意して読解する必要があります。

FAS業界にはどのような会社があるのか?

FASファーム(FASを提供する企業)は、大手・中堅だけで国内に数十社と存在しています。

Big4と呼ばれる世界展開する四大会計事務所の日本法人が、業界内では筆頭とみなされています。それぞれ監査法人や総合系コンサルティング企業とともにFAS専門のコンサルティングファームを国内で展開しています。

  • 「Big4」一覧
    – EY(アーネスト・ヤング)
    – デロイト トウシュ トーマツ
    – PwC(プライスウォーターハウスクーパース)
    – KPMG

更に国内には独立系と呼ばれるFAS専業企業が大小様々な規模で存在しており、中にはプライム上場の企業も含まれます。

それぞれの企業が、それぞれの専門性を発揮して、サービス展開を行っています。分類ごとの企業を例示すると以下の通りです。

分類会社名の例
Big4系デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社
PwCアドバイザリー合同会社
株式会社KPMG FAS
EYソリューションズ株式会社
独立系山田コンサルティンググループ株式会社(プライム上場)
フロンティア・マネジメント株式会社(同上)

尚、より詳しい業界研究や企業一覧などは、(関連記事)【国内FAS】業界研究と企業一覧、転職先の選び方に詳しく掲載しています。

FASの具体的な業務内容は?

一口に財務・会計に関するサービスといっても、その仕事内容は多様です。

FASファーム各社が提供しているサービス内容の内、主要なものを詳細に解説していきます。

M&A関連業務

M&A(企業間の買収や統合)はFASファームの主戦場とも言える領域です。ほとんどのM&A案件の裏でFASファームや投資銀行が活躍しています。

M&AにおいてFASが担う仕事は、案件創生(売り手・買い手マッチング)から始まり、取引全体のアドバイス、デュー・ディリジェンス(調査)、資金調達まで、多岐にわたります。その中には、営業的要素が強いカバレッジ業務から、ひたすら専門的作業をこなすバリュエーションまで、内容も性質も異なる多様な業務が存在しています。

そこで、まずは全体像として、性質ごとに営業的か専門的か、コンサル的か作業的か、という4象限にサービス領域をプロットしてご紹介します。(筆者の独断と偏見によるプロットです。ご了承ください。)

以下、主たるサービスラインを個別に紹介していきます。

カバレッジ:M&Aアドバイザリー案件を開拓する営業部隊

カバレッジ業務は、M&Aの主体となる会社の売り手・買い手を開拓して案件を創生する業務です。平たく言えば営業活動です。

日ごろから電話での営業やダイレクトメールの作成などを通じて新たな買い手・売り手とのコネクションを構築し、マッチングを行います。

また、お得意様となる連続買収者(いわゆるストロングバイヤー)や子会社売却を進めている大手企業と頻繁にコンタクトを取り、自身の手札のブラッシュアップも日常的に行います。

カバレッジ業務に向いている人:営業スピリットがある人、インセンティブを求める人

カバレッジ業務は営業的側面が強く、人と人との繋がりが成績に直結する業務です。

ご自身に人的関係性の構築能力があるか否か。そして何度断られてもコールドコール(要は電凸営業。冷たい対応をされるので、M&A業界ではこのように呼ばれます。)を続けられるスピリットがあるか否かが重要といえるでしょう。

また、インセンティブ報酬の面でも優遇されている傾向があるのがこの業務担当者です。高報酬を狙いたい人にはお勧めの業務です。

カバレッジ業務に生かせる能力:既存の人間関係

カバレッジ業務は、人間関係が成否に直結します。

大手企業の経営企画職や金融機関、PEファンドや個人企業オーナー等との既存のお付き合いがあれば、カバレッジ業務に生きる可能性があるはずです。

FA業務:M&Aトランザクション全般に関するアドバイザリー。ディールの船頭役。

FA(フィナンシャル・アドバイザー)業務は、M&Aにおける売り手と買い手がマッチングした後に、売り手または買い手のいずれかの側に立って取引全般に関して助言業務を行います。

取引の特性を鑑み「どのような点に注意するべきか」、「交渉のポイントは何か」といった助言を行うとともに、弁護士や会計士など取引に必要な専門家の紹介なども担当します。

クライアントがM&A経験がない場合であれば、M&Aの常識やベストプラクティスに基づきクライアントを導く、まさにディールの船頭役といえるポジションです。

FA業務に向いている人:人間関係の機微と会計・税務知識の総合力

FA業務は、M&Aの交渉を有利に進めるため、カウンターパート(交渉相手)の特性を見抜き適切なアドバイスを行うことが求められます。

更に、金銭面においてクライアント価値最大化を実現するためには、会計・税務面における知識を駆使し優位なスキームに持ち込む工夫も必要です。

このように、FA業務は人的関係と専門知識の合わせ技を求められる高度な専門性を有する分野です。真にクライアントに信頼されるFAになるためには、長年にわたる鍛錬を要します。

また、カバレッジ業務と並びFA業務も、ディール成功時のインセンティブ報酬が多い傾向があります。大型案件を決めて一攫千金を目指す人にも向いている業務領域です。

FA業務に生かせる能力:専門家の人脈と人間力、会計・税務知識

FA業務においては、人間力と会計・税務知識の両方が求められると解説しました。いずれも一朝一夕に身につくものではありませんが、将来的に身に着けられる自信がある、あるいはそういった希望がある場合はこの道を志望することが良いでしょう。

また、専門分野については、ディール中にその道に特化した専門家にヒアリングしたり、場合によってはクライアントに紹介するなどの動きも必要です。

このように各分野(会計、税務、法務等)に人脈を有していることは、FA業務をスムーズに進めるために大いに生きることでしょう。

財務DD(FDD):財務会計・税務の専門知識に基づく机上における徹底調査

財務デュー・ディリジェンス(財務DD、FDD)は、ディールも中盤に差し掛かり、買い手・売り手の提示条件が基本合意に至った段階で行われる調査を担当する業務です。

買収対象となる会社の損益計算書と貸借対照表を管理資料ベースで洗い出し、買収後のリスク(具体的には、PLにおける減収の予兆や不適切経理による利益調整有無、BSにおける不良資産や架空資産、簿外債務等)の有無を徹底的に調査します。

限られた期間で調査をまとめ上げる必要があるため、時にはハードワークが必要となりますが、その分報酬水準も高額になります。

分析にはエクセル、報告にはパワーポイントがよく使用するため、かなりのMS Office力が求められます(最近はより先進的なBIツールを活用するファームも増加していますが、やはり基本はエクセル・パワポです。)。会計監査に類似した業務ですが、M&Aは秘密裡に遂行されるため、調査対象企業のオフィスに直接出向くことはほとんどなく、自社オフィスにおいて机上調査を行うことがほとんどです。

財務DDに向いている人:粘り強く思考し、作業を遂行できる人

財務DD業務はFAやカバレッジとは対極的といえる働き方であり、数字・会計・税務とひたすら向き合い、思考を深められる人が向いているといえます。

営業的要素はほとんどないので、会計・税務の知見を深めた専門家を目指したいという方にはお勧めの領域です。

尚、公認会計士や税理士が有利な領域ではありますが、資格なしでこの領域で活躍している方も多数いるのも事実です。但し当然ながら簿記知識がないと話になりませんので、志望する場合はあらかじめしっかり勉強しましょう。

FAS志望者向けの簿記の勉強方法に関して、(関連記事)FASの密接な関連性。実務でいかに役立つか、応募対策も併せて解説。もご参考ください。

財務DDに生かせる能力:監査経験があれば有利。簿記全域の知識は必須。

調査対象企業に乗り込めない点以外は、会計監査に類似した業務内容です。監査法人等での業務経験があれば有利と言えるでしょう。

また、公認会計士や税理士の資格は必須ではありませんが、財務会計・簿記に関する全般の知識は必須といえます。日商簿記の検定資格も保有していれば優位となります。

バリュエーション(企業価値評価):教科書的手法を実務に如何に適用するか

非公開株式や事業、債権の価額を算定する業務です。

これらの価値は一物多価であり考え方や買う主体によって様々な価額を付けられます。FASの仕事は、このような性質のものに財務・金融指標と照らし妥当な価額を論理的に導くことです。

DCF法やマルチプルなど既存の教科書的バリュエーション手法は確立されていますが、いざ実務に適用するとなると、類似企業選定やマルチプル倍率、リスクプレミアムなど様々なパラメータをどのように決定するか、経験と勘が求められる箇所が多数あるのが実情です。そういった面で一つの専門職としての地位をFAS内で確立している職種です。

価額が定まらないものに対して理論武装した価額を提示することで、クライアント及びステークホルダーの交渉の目安となり、説明可能なロジックを提供します

バリュエーション業務に向いている人:淡々と依頼をこなし数字を作る仕事を志向する人

バリュエーション業務は、パラメータ決定を終えれば計算結果を淡々と求める仕事です。

それだけに専門性が高いとも言えますし、味気ない仕事と指摘する人がそれなりにいることも事実です。

営業的要素などは皆無なので、そのような業務を忌避する人にも向いている仕事といえるでしょう。

バリュエーション業務に生かせる能力:勉強好きな人が有利

バリュエーションは、まずは教科書的手法の数学的・ファイナンス的な要素の理解から入り、更に各事例に適用するためのポイントを学習する必要があります。

M&A関連業務の中でも特に学者的要素が強い領域であり、勉強を重ねて専門性を高めていける人が有利です。

(番外編)M&A仲介業は近隣業界。FASにおけるM&Aと重複する部分もあるが、基本は別業種。

M&A仲介業は、不動産業のように買い手と売り手の間に入りM&A取引を仲介する形式をとる近隣業種です。

FAが買い手・売り手のいずれかの専属アドバイザーとなる点と異なり、買い手・売り手両方から仲介料を徴収する、いわゆる両手取りが特徴的です。(クライアント、特に買い手との利益相反の論点が常に疑問視される業態ですが、ここでは詳しくは触れません。)

他方、FASのようにバリュエーションや財務DDといった専門サービスは提供していません。あくまで手数料が高い仲介業務に専念しており、不動産業にも近い雰囲気を醸しています。

FAS各社でも仲介業務を提供し始める企業も増えており、その境目はあいまいになりつつありますが、基本は似て非なる業種です。求職者としては面接などを通じて業務内容をしっかりヒアリングし、ミスマッチを避けるよう努めましょう

(ちなみに)M&A関連業務の求人は、ハイクラス転職サイトに多数存在。スカウトサイトで転職可能性を探ろう。

M&A関連業務は、給与水準・専門性の面でハイクラス職業に分類されることが多く、求人案件を見つけるにもそういった層をターゲットとしているサイトを利用するのがベターです。

ビズリーチは、職務経歴(レジュメ)を登録することで希望領域の企業からスカウトを受けられる、ハイクラス専門の転職サイトです。筆者自身も転職活動の際に利用しており、Big4やM&A特化ファームのスカウトを多数受けていました。

>>M&A関連業務への転職ならビズリーチ/スカウトを受け取れる会員登録(無料)はこちら

無料で利用できますので、M&A業務に興味があれば、可能性を探る意味でも登録してスカウトを受けられる体制を整えるのをお勧めします。

企業再生に関するアドバイザリー

企業再生の局面では、借入金と収益性のバランスを見ながら利害を調整し事業計画を策定する、高度な財務計算が必要とされます。

FASファームは、再生企業のコンサルタントとして参画し、借入金の処理に関する交渉をサポートします。

また、交渉に必要な収益額を満たす事業計画策定や、その後の実行支援などをおこないます。

企業再生業務におけるデュー・ディリジェンス

企業再生業務においても、デュー・ディリジェンス(DD)と呼ばれる工程が行われる場合があります。

再生に向けた事業面の問題点の洗い出しと、財務会計の実態把握と、事業・財務の両面に主眼に置かれた調査を実施します。また、それらを利害関係者(再生当事者である会社や金融機関)に報告を行います。

特に後者(財務DD)に関しては、再生局面において不適切経理(架空在庫や償却不足等による純資産残高のドレッシング)が生じているケースも多いのです。

そういった現状を見抜き、適切に処理するアドバイスを提供し、利害関係を調整できるのは、FASの財務・税務の専門知あってこその価値と言える仕事分野です。

再生に向けた債権者集会(いわゆるバンクミーティング)への対応支援

企業再生において債務整理(リスケジュールや債務減免)を行う場合、大きくは私的整理と法的整理(会社更生法等の適用)に分かれます。

このうち私的整理を行う場合は、債権者間の合意が不可欠です。そのための情報共有と話し合いの場として債権者集会が執り行われる場合が多く、FASの企業再生部隊はこの様な集会運営の手助けも行います。

適切な説明、徴収すべき書類などの指導を行い、再生企業が債権者との調整を行うサポートを提供します。

ファイナンス・スキームに関するアドバイザリー

例えば企業の統廃合(M&A)や不動産証券化等において、会計・税務をどのように処理するべきかは重要なポイントです。

スキームにおける税務論点アドバイザリー:不測の税務債務の発生を未然に防ぐ

ファイナンススキームにおける不測の税務債務(課税)の発生は、ステークホルダーに甚大な影響を及ぼします。

そういった事態を未然に防ぐため、FASでは税制に照らしてスキーム実行により発生する税金をあらかじめ予測します。あるいは税務面でメリットのあるスキームの提案を行います。

税制適格の議論や繰越欠損金の処理をはじめ、税務面の考察は高度かつ重要な業務です。FASにおいては経験豊かな税理士を中心にこのようなプロジェクトに取り組みます。

スキームにおける会計論点アドバイザリー:特に上場企業にニーズ

スキーム処理において、会計面の処理は税務とは別に考察する必要があります。

非上場企業など会計監査を受けない企業であれば会計・税務の一致を確認できればさほど問題にはなりませんが、上場企業となればそうもいきません。

FASでは、日本におけるGAAP(会計基準)やIFRSの基準にしたがい処理内容についての意見や考察を行うサービスを提供します。

資金調達支援

資金調達は、緻密な事業計画と、調達に必要な人脈の二つが組み合わさり初めて実現します。

FASファームは、持ち前の財務知見に基づき事業内容を損益計画に落とし込む仕事を行います。

また、場合によっては金融業界の人脈を駆使しレンダーや投資家をマッチングするところまでサポートすることもあります。

会計・経理に関するアドバイザリーや不正調査(フォレンジック)

会計基準や内部統制基準の高度な遵守を求められる上場企業を中心に、監査法人とは別の視点でのアドバイザリーを求められる場合があります。

また、会計業務は不正行為(不適切経理や横領等)と隣り合わせの仕事であることから、そのような恐れがある業務の是正に関する助言や、過去の不正の有無の調査を行います。

この分野の仕事は監査法人のサービス内容にも近く、公認会計士が強い分野と言えます。

(参考)より詳しくFASの業務を知りたい方へ、オススメ書籍をピックアップ

(関連記事)FAS転職希望なら面接/実務対策に読むべき書籍。分野別に現役コンサルタントが厳選にて、筆者自身の長年のFAS業界での業務・読書経験に基づき、各業務分野におけるオススメの書籍をピックアップしています。

入社前の面接対策のみならず、入社後の実務にも役立つ実践的な書籍のみを掲載しています。ぜひご参考ください。

FASが社会に果たす役割とは?

M&Aや企業再生といったニュースが日々新聞などで報道されていますが、その裏には必ずFASの仕事が存在します。

そういった取引において、利害関係者が会計・税務を適切(適法)に処理するには、FASの専門知識が欠かせないのです。

ニュースとなるような大手企業同士の合併や買収、企業再生のみならず、中小企業におけるディールに関しても、くまなくFASがビジネスを展開させています。

FASのキャリアは?

筆者の業界経験を踏まえ、FAS業界にいる人々のバックグラウドやその後の進路をご紹介します。

FASコンサルタントのバックグラウド:士業系、銀行系、事業会社系と、意外に多様

業務内容の性質上、FASに勤務するコンサルタントの一定の割合を公認会計士と税理士が占めています。また、金融関連の業務が多いことから銀行・証券等の金融機関からの転職者も一定の存在感があります。

また、意外なことに近年は事業会社出身(実質的な異業界転職者)も採用が増加しています。士業系が人手不足であることに加え、FASの業務領域が拡大していることが一因と言えます。(筆者も、元々はIT系の出身でFAS業界へ転職した異業界組です。詳細はこちら(関連記事)。)

この様に、専門性が高いサービスの提供をしている印象とは裏腹に、様々なバックグラウンドの人材がFASファームで働いていることが特徴的といえます。

コンサルタントのバックグランウドに関する実データの検証等に関して、(関連記事)未経験・異業種でもFAS転職は可能と断言できる理由。データと経験から裏付ける。に詳しくまとめております。

FAS業界の平均年収:一般的な職業に比べ高水準

FAS業務は専門性の高い仕事だけに、報酬も一般企業に比べ高水準です。

通常で3年程度勤務し一定の業績を上げることで昇格できるマネージャー級で、年収1,000万円に到達するのが業界内では標準的な報酬水準となっています。

その更に上、ディレクターやパートナークラスに昇格すれば2~3,000万円の報酬を得ているプロフェッショナルも多くいます。

筆者自身も、業界入りして3年目(2.5年)で前職の2倍となる1,000万円を超え、その後もそこに留まらず順調に昇給することが出来ました。

※筆者自身の経験については、(関連記事)【体験談】未経験・異業種からFAS転職を実現。筆者の転職経験とその後を紹介。にまとめています。

ポストFAS:FAS勤務の経験後は、上場企業等の幹部職や経営企画職、独立起業など多様。

ポストFASの現状として、実績を残しプロモーション(昇進)を経験した方の華々しい転身と、反対にアップ・オア・アウト(上がるか出るか)に押し出された方の撤退の2つに命運が分かれる印象です。

一定の成果を残したコンサルタントの未来は明るい

FAS業界で一定の成果を残した方は、その後更に高度な領域にチャレンジする方が多数派です。

例えば、上場企業等の幹部や経営企画職が代表的なものとして挙げられます。経営企画職は、大手企業においては中期経営計画やM&Aプランの策定や実行を担っており、FAS業務との親和性が高い領域です。

その他、PE(プライベート・エクイティ、非公開株式を扱う投資ファンド)への転職や独立起業など、様々な領域で活躍しています。

FAS業界での仕事を通じて、会計・税務の専門知識はもちろんのこと、ビジネス感覚や交渉スキルなど様々なポータブルスキルを習得し、その後のキャリアに生きていることが伺えます。

逆に適性が低い人にはキツい業界。ミスマッチからの短期離職は珍しくない。

半面、FAS業界も働き方の面ではコンサルティング業界の色が濃く、いわゆるアップ・オア・アウト(上がるか出るか)の世界である場合が多い現状です。

「地頭の良さ」に加え、FAS特有の特徴として「数字に強い」、「エクセル・パワポ作業が早い」人材が有利な業界です。向いていない人には、ハイプレッシャーと高稼働な仕事内容もありキツい業界であり、短期離職だけが残る結果にもなりがちです。

(関連記事)FAS業界のキャリアのマイナスの側面、厳しさ、転職志望者が覚悟すべきことにて、この様なFASキャリアのマイナス面について詳細に解説しています。進路選択には、こういった側面もしっかり認識した上で挑むことが大切と考えます。ぜひご活用ください。

FASのキャリアに興味が湧いたら、まずは行動してみましょう

FASは、筆者が8年以上働いてきた実感として、上を目指す人に対しては自信をもって勧められる職業です。思い立ったが吉日、これを機にFASキャリア実現への第1歩を踏み出しましょう。

■簿記の基礎知識が既にある人→下準備としては十分です。まずは転職エージェントに相談してみましょう。エージェントの選び方と活用戦略はこちら

■簿記が未学習に人→FASは簿記知識を基礎にしたプロフェッショナルです。3ヶ月もかければ十分なので、先ずは簿記の勉強を始めましょう。FAS転職を見据えた簿記の学習戦略はこちら

タイトルとURLをコピーしました